都会の喧騒を離れ、耳を傾ける草むらの音色。人がコオロギの声を聴いたときに感じる深い安らぎには、脳科学的な裏付けが存在する。彼らの発する音には、人間の可聴域を超える20キロヘルツ以上の超高周波成分が豊富に含まれている。これが脳の基底核や視床下部を刺激し、α波の発生を促進する「ハイパーソニック・エフェクト」を引き起こすのだ。
デジタル機器に囲まれストレスを抱えがちな現代人にとって、自然音・環境音をベースにしたサウンドセラピーは欠かせない回復手段となりつつある。人工的な電子音とは異なり、ゆらぎと自然な倍音を多分に含んだ響きは、副交感神経を優位にし、自律神経のバランスを整える。ただそこに存在するだけで人の心を穏やかに満たすサウンドスケープのマスターピースと言えるだろう。