この革新的なメニューを生み出したのは、山形市内に店を構える老舗そば処「栄屋本店」だ。物語は1950年代初頭、創業者の初代・阿部金五郎のもとに寄せられた常連客の一言から始まった。「夏場に冷たいお蕎麦があるように、冷たいラーメンも食べてみたい」。
その声に応えるため、阿部金五郎の試行錯誤の日々が始まった。冷やすと固まる脂との戦い、冷たさに負けない出汁のコクの探求。試作を繰り返し、理想の味に辿り着くまでに要した歳月は実に1年半に及んだという。1952年、ついに元祖「冷やしラーメン」が完成し、正式なメニューとして産声を上げた。
暖簾を守り続ける栄屋本店の店内には、半世紀以上前に生まれた味を求めて全国から人が集まる。歴史の重みを感じさせる伝統のスープは、創業者から引き継がれた情熱と技術の賜物であり、いまなお進化を続けている。