ジョルノ立ちをはじめとする「ジョジョ立ち」の根底には、原作者・荒木飛呂彦氏が長年傾倒してきたイタリア美術の精神が色濃く反映されています。荒木氏はインタビューや自著において、20代半ばで訪れたイタリアでルネサンスやバロック期の彫刻に衝撃を受けたと明かしています。特にミケランジェロ 彫刻の代表作である『ダビデ像』や『瀕死の奴隷』に見られる肉体のねじれ(トーション)と、体重を一歩の足に預ける「コントラポスト(対照的釣合)」の技法は、ジョルノの立ち姿にダイレクトに受け継がれました。
さらに注目すべきは、古典美術にとどまらない「モードファッション」からのサンプリングです。荒木氏は『VOGUE』や『Harper's BAZAAR』といった海外ファッション誌、あるいはジャンニ・ヴェルサーチやジャン=ポール・ゴルチエが手掛けたコレクション写真から構図の着想を得ています。彫刻が持つ重厚な骨格構造に、トップモデルが見せる過剰なまでの身体のひねりを掛け合わせた結果、唯一無二の「ジョルノ立ち」が完成したのです。
特にファンに鮮烈な印象を残したジョジョ第5部 表紙イラスト(ジャンプコミックス47巻)では、自身の胸元にあるハート型のカッティングを左手で引き広げ、右手を腰元に添えながら首を斜めに倒すポーズが描かれました。これは古典彫刻の静謐な力強さと、ハイブランドの挑発的なアティテュードが完全な調和を果たした象徴例といえます。