記号「&」の正式名称はアンパサンド(ampersand)であり、英語表記では一般に「and sign」とも呼ばれます。この独特な形状が書き手を悩ませる最大の原因は、元々独立した2つのアルファベットが融合して生まれた「合字(リガチャ)」という成り立ちにあります。
紀元前1世紀の古代ローマ時代、雄弁家キケロの書記を務めたマルクス・トゥッリウス・ティロが考案した速記体系において、ラテン語で「〜と(and)」を意味する単語「Et」の筆記体を素早く書き留めるために文字同士をつなげたことが起源とされています。大文字の「E」と小文字の「t」を一筆で流れるように綴る過程で、現代目にする「&」の骨格が形成されました。
「アンパサンド」という名称自体も、19世紀初頭のイギリスの学校教育現場で生まれた言葉の変遷に由来します。当時、アルファベットの27番目の文字のように扱われていた「&」を暗唱する際、ラテン語の慣用句を交えて「and per se and(それ自体でandを意味するand)」と唱えていたものが、口語として短縮されて「ampersand」へと定着しました。この「Eとtが一筆書きで融合した」という歴史的ルーツを視覚的にイメージできるかどうかが、手書きで綺麗なプロポーションを描くための第一歩となります。