日本のテレビ史を語る上で欠かせないのが、刑事ドラマの金字塔『太陽にほえろ!』における井上貴(通称・ゴリさん)役だ。1972年の放送開始から実に10年にわたりレギュラーを務め、番組の屋台骨を支え続けた。
ゴリさんは単なる「腕っぷしの強い刑事」ではなかった。犯人の心の傷に誰よりも敏感で、時には法と人情の狭間で涙を流す。拳銃をめったに抜かない射撃の名手という設定も、命の重みを知る男の矜持を感じさせた。そして1982年、お茶の間を涙の渦に巻き込んだあの壮絶な殉職シーン。あれほどまでにキャラクターの死が社会現象となった例は、後にも先にも数えるほどしかない。