この楽曲が発表された背景には、2011年末に起きたあまりにも非情な私生活の崩壊劇が存在します。2010年10月にインドで豪華絢爛な挙式を行い、世界中から祝福されたケイティ・ペリーとイギリス人俳優ラッセル・ブランドの結婚生活は、わずか14か月(約430日)で唐突な終焉を迎えました。
当時、大規模なワールドツアー『California Dreams Tour』の真っ只中にいたケイティに対し、ブランドが離婚の意思を伝えた方法は、2011年12月31日の大晦日に送信されたわずか1通の携帯電話のショートメッセージ(SMS)でした。のちにケイティが米ファッション誌『Vogue』などのロングインタビューで明かした証言によると、その冷酷なメッセージ受信を最後に、彼と言葉を交わす機会は二度と訪れなかったといいます。
2012年に公開された公式ドキュメンタリー映画『Katy Perry: Part of Me』には、現代のポップカルチャー史に残る壮絶な舞台裏が克明に記録されています。ブラジル・サンパウロ公演の開演直前、バックステージの控え室で離婚のショックから過呼吸気味に泣き崩れ、スタッフに抱えられていた彼女。しかし、昇降ステージのカウントダウンが始まると、頬を伝う涙を拭い去り、何万人ものファンが待つステージへと飛び出し、眩いばかりの笑顔で歌い踊りました。プロフェッショナルとしての誇りと人間としての極限状態が交錯したこの瞬間こそが、「Part of Me」という楽曲に宿る圧倒的なリアリティの源泉です。