摘発ニュースが流れるたび、過去にその店舗を利用したことがある人々を震撼させるのが「顧客名簿の押収」というフレーズです。会員制を謳うハプニングバーの多くは、入店時に運転免許証やマイナンバーカード、健康保険証などの提示を義務付け、コピーや電子スキャンを保存しています。
警察が店舗を家宅捜索した際、レジ周辺の会員台帳、顧客管理用のPCやタブレット端末、LINE公式アカウントの登録データはすべて証拠品(領置物件)として差し押さえられます。では、顧客名簿押収と警察の対応において、過去の利用客全員に警察からの連絡が入るのでしょうか。
結論から言えば、警察が押収した名簿を元に、現場に居合わせなかった一般利用客を片っ端から呼び出したり、自宅に電話をかけたりすることは実務上まずありません。捜査機関の目的はあくまで「店舗経営者および中核スタッフの罪責立証(公然わいせつ幇助および風営法違反)」にあり、何千人もの過去客を一人ひとり追及する捜査リソースも法的根拠も存在しないからです。
しかし、ハプバー身元特定リスクが完全にゼロであると言い切ることはできません。以下のような特定の条件下では、一般客にも警察の手が伸びる現実があります。
- 重要参考人としての協力要請:店舗の営業形態や料金システム、違法行為の常態化を立証するため、利用頻度が高かった常連客に対して任意での事情聴取が求められる場合。
- 未成年者の立ち入り事案:万が一家宅捜索された店舗に未成年者が紛れ込んでいた場合、児童福祉法違反や青少年健全育成条例違反の観点から、名簿に記録された接触者が特定・追跡されるリスク。
- 押収物の還付手続きや裁判資料:押収された私物が返還される際の確認連絡や、刑事裁判の証拠書類として顧客リストが法廷に提出される過程で、限定的な関係者に情報が渡るリスク。
また、警察から直接連絡が来ずとも、名簿データを抱えた店舗側のセキュリティ破綻や、関係者の逮捕による店舗閉鎖に伴うデータ流出など、民間レベルでの身元露呈リスクは常に付きまといます。