主人公ゲジヒトは、かつて自身の子供を人間に理不尽に破壊され、その怒りからロボットに禁じられた「人間殺害」を犯していました。その記憶を消去されながらも、真実に辿り着いた彼は、復讐の無意味さを悟ります。ゲジヒトが非業の死を遂げる直前、敵であるプルートゥに遺した言葉「憎しみからは、何も生まれない」は、本作の核心を成すメッセージです。
ゲジヒトのメモリーチップを受け継ぎ、自らも一度命を落としながら覚醒したアトムは、ゲジヒトの憎悪と苦悩をも受け止めます。目覚めたアトムは憎しみに支配されそうになりながらも、最後には憎悪の連鎖を自らの意志で断ち切る決断を下します。
地球を滅ぼそうとするボラーの体内へ飛び込んだアトムと、アトムの説得によって憎しみを捨てたプルートゥ。プルートゥは自らの命を犠牲にして反陽子爆弾の爆発を食い止め、地球の危機を救いました。悲壮な戦いの果て、アトムが見せた涙と「憎悪を終わらせる」という静かな祈りは、多くの読者の胸を打ち、今なお傑作として語り継がれる理由となっています。