メークインのルーツは19世紀末のイギリスにある。原名は「May Queen(五月の女王)」。春の訪れを祝う祭りの女王にちなんで名付けられたこの芋は、大正時代に海を渡って日本へと持ち込まれた。
日本のじゃがいも史を語る上で欠かせないのが、男爵薯を導入したことで知られる川田龍吉男爵だが、メークインもまた同時期に北海道の肥沃な大地で試験栽培が開始された。寒冷で広大な大地が広がる北の大地は、原産地の気候と見事に合致したのである。
農林水産省の品種登録データや栽培史を辿ると、当初は独特の長い形状や栽培の難しさから普及に時間を要したことが記録されている。しかし、煮込み料理を好む日本の食文化と奇跡的なマッチングを果たしたことで、昭和中期以降、全国津々浦々の食卓へ一気に広がっていった。