NHKの看板報道番組である『ニュースウオッチ9』をはじめ、数々の重要ニュースの現場で彼女が発揮した存在感は記憶に新しい。スタジオで淡々と原稿を読み上げるのではなく、自らの足で稼いだ一次情報を基に語る言葉には、他を圧倒する重みがあった。
テレビジャーナリズムが直面する最大の壁は、「時間の制約」と「映像の分かりやすさ」の追求に伴う情報の切り捨てである。彼女はその制約と戦い続けた。多角的な視点を失わず、時に複雑な事象を分かりやすく、しかし安易に単純化することなく伝える姿勢。報道番組としての品格を保ちながら、視聴者の関心を惹きつける高い構成力は、現場を執拗に歩き回った記者としての矜持そのものだった。