本作の歌詞は、主人公が道端で「素敵なもの」を拾い、それを自分以上に必要としている他者へ次々に譲り渡していくという寓話的なストーリーで展開します。一見すると、自分の手元には何も残らず、損をしているかのように思える歩みです。
しかし、旅の終着点で主人公が気づいたのは、「自分が誰かにあげたもので、その人たちが心から喜び、笑顔になったこと」そのものが、自分自身の心を最も満たしていたという真実でした。槇原敬之の卓越した作詞術は、「幸せは奪い合うものではなく、循環させるもの」という高潔な心理的境地を、平易で温かみのある言葉選びで描き切っています。
音楽理論の観点からも、王道のポップスコード進行(カノン進行の応用や美しいクリシェ展開)が採用されており、ピアノ弾き語りやアコースティックギターのコード譜面、さらには混声三部合唱の楽譜としても広く演奏され続けています。メロディの親しみやすさとコードの洗練が、歌詞の持つ説得力を何倍にも増幅させているのです。