結論から明かせば、「成長痛があるからといって、身長が急激に伸びているわけではない」というのが小児整形外科における確固たる定説です。「身長先生」の愛称で知られる東京神田整形外科クリニックをはじめとする複数の医療機関が公表している臨床知見でも、成長痛の有無と最終身長の伸び率には直接の相関関係がないことが実証されています。
日本国内の小児整形外科医の報告によると、いわゆる一次性の成長痛は3歳から12歳頃の小児の約10〜20%に経験されます。しかし、実際に急激な身長伸長が起こる「成長スパート」のピークは男子で13歳前後、女子で11歳前後。成長痛のピーク時期(5〜7歳頃)とは明確なタイムラグが存在します。
では、なぜ「痛いほど背が伸びる」という俗説がこれほど広く定着したのでしょうか。公益社団法人射水市医師会の解説などによると、過去には「骨の成長速度に筋肉や腱の伸びが追いつかず、牽引ストレスで痛みが出るのではないか」という仮説が語られていた時代がありました。さらに、夜間に子どもが痛がった際、親が「これは大きくなっている証拠だよ」と言い聞かせて安心させようとした家庭教育的配慮が、民間伝承として独り歩きした背景が指摘されています。
痛みの発生頻度と身長の伸びを定量的に追跡した複数の臨床調査を見ても、痛みを一切訴えずに180cmを超える大柄に育つ子どもは無数に存在し、逆に激しい痛みを繰り返しても平均身長にとどまるケースは珍しくありません。この事実は、成長痛と身長の伸びの因果関係が医学的な神話にすぎないことを如実に物語っています。