医療機関で説明を受ける際、最も混同されやすいのがパーキンソン病との違いです。両者の関係性を理解するには、「症候群(シンドローム)」が症状の集まりを指す上位概念であり、「病(疾患)」がその中にある固有の原因を持った病態であるという構図を把握する必要があります。
医学用語における「パーキンソニズム(パーキンソン症状)」とは、主に以下の4大運動徴候を指します。
- 無動・寡動(むどう・かどう):動作の開始が遅れ、素早い動きや細かい作業が困難になる
- 筋強剛・固縮(こしゅく):筋肉がこわばり、他者が手足を動かそうとすると歯車のような抵抗を感じる
- 静止時振戦(しんせん):安静にしているときに手足がリズミカルに震える
- 姿勢反射障害:バランスを崩した際にとっさに足が出ず、転倒しやすくなる
これらの症状を示す状態全般をパーキンソン症候群と呼びます。その中で、中脳黒質のドパミン神経細胞が減少し、αシヌクレインというタンパク質が凝集(レビー小体)することで発症する独立した原因疾患が「特発性パーキンソン病」です。統計的にもパーキンソニズムの約7割をパーキンソン病が占めますが、残り約3割は別の原因によって同様の症状が生じています。
両者を分ける最大の臨床的特徴はレボドパ反応性(ドパミン補充薬の効果)です。典型的なパーキンソン病ではレボドパの投与によって症状が劇的に改善する一方、後述するパーキンソン症候群の多く(特に変性疾患群)では、ドパミンを受け取る側の神経細胞受容体にも障害が及んでいるため、薬の効果が限定的、あるいは早期に減弱する特徴を持ちます。