1976年、日本中のみならず世界的なセンセーションを巻き起こした世界的大作が、大島渚監督の映画『愛のコリーダ』だ。藤竜也はこの作品で主役の吉蔵を演じ、体当たりの官能的な演技と圧倒的な存在感で、世界にその名をとどろかせた。
タブーに挑む過激な描写が注目されがちな作品だが、彼の見せた演技は愛に溺れゆく男の哀愁と美しさを極限まで表現していた。過激な表現を恐れず作品の核心へと飛び込む度胸と、ニヒルでハードボイルドなダンディイズム。この作品を経て、彼は「二枚目アクション俳優」から「日本を代表する本格派名優」へと飛躍を遂げたのだった。