青年期に結成されたロックバンドが20年を超えて活動を継続する際、必ず直面するのが「個人の自己実現」と「組織の方向性」の乖離です。組織心理学や社会学の視点から見ると、初期の強い結束(共依存的な一体感)から、成熟期における健全な自立(心理的バウンダリーの確立)への移行期に、多くのグループが再編を経験します。
桑原彰の脱退劇は、誰かが悪者になった破滅的な崩壊ではありません。創業者としての責任を果たし、自らのアイデンティティと向き合った結果としての「健全な境界線の引き直し」と捉えるのが本質です。
長年連れ添ったパートナーシップにおいて、互いの尊厳を守るためにあえて距離を置く選択は、極めて成熟したプロフェッショナリズムの証と言えます。双方がそれぞれの領域で新たな価値を生み出し続けることこそが、これまで紡いできた歴史に対する最大の誠意となります。