就活生や転職市場において根強く信じられているのが、「五大商社の子会社に入れば、本体と同じような高給を得ながら一生リストラ知らずで安泰に暮らせる」という神話です。しかし、近年の商社ビジネスの地殻変動を見る限り、この認識は決定的な誤解を含んでいます。
第1の盲点は、事業ポートフォリオ再編による「子会社売却・統合リスク」です。住友商事を含む総合商社は、資本効率(ROE)の向上を至上命題として掲げており、低収益に陥った事業やコア戦略から外れた子会社を容赦なく売却、または競合他社との合弁会社へ移管しています。「住友」の冠がついていた企業が、ある日突然他社に売却され、親会社のバックボーンを失う事例は珍しくありません。
第2の盲点は、本体からの「事業移管」に伴うコスト削減圧力です。本体のコスト高を是正するため、従来は本体社員が担当していた利益率の低い泥臭いオペレーションが子会社へ丸投げされるケースが増加しています。これにより、給与水準は子会社基準のままでありながら、業務の負荷と責任だけが本体並みに重くなる「名ばかり商社マン」状態に陥るリスクが潜んでいます。
ネット上の「勝ち組ランキング」を鵜呑みにし、企業の独立性やグループ内での存在意義を確認せずに入社を決めてしまうと、数年後にグループ再編の波に飲み込まれて後悔することになりかねません。