なぜ、はやり目のような感染力の強い疾患において、適切な休業がスムーズに行われないのでしょうか。産業社会学および労使心理学の観点からこの構造を読み解くと、日本企業に根強く残る「プレゼンティーズム(心身の不調を抱えながら無理に出社し、生産性が低下している状態)」への過剰適応という病理が浮かび上がります。
「少々の目の充血程度で1〜2週間も現場を離れるのは無責任だ」「休むなら自分の有給を削るのが大人のマナーだ」という同調圧力は、個人の心理的バウンダリー(自他の健康を守る境界線)を侵食し、結果として組織全体の安全配慮義務を麻痺させます。感染症を個人の自己責任論に帰結させる組織文化は、1人の無理な出社がフロア全体の戦力離脱を招くという合理的なリスクマネジメントを著しく損なっています。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
はやり目に罹患した際、どのような働き方を選択すべきか。業務特性と組織のリスクマネジメントに基づく明確な判断基準は以下の通りです。
【休業手当または完全休養を選択すべき人(出社を絶対に避けるべき人)】
- 対面接客、医療・介護従事者、保育・教育関係者:顧客や免疫力の低い他者と接触する職種は、1人の感染が重大な事故につながるため、完全な医師の就業許可が出るまで例外なく休業すべきです。
- PC画面を凝視する精密作業・長時間のデスクワーク職:角膜炎の急性期に目を酷使すると炎症が悪化し、永久的な視力低下や角膜混濁の後遺症リスクが跳ね上がります。本人の労務提供不能として傷病休業を選択するのが医学的に正しい決断です。
- オフィスで固定席や共有備品を使用する現場勤務者:ペーパーレス化が進んでいない職場や、ドアノブ・OA機器を共有する環境では、他者への曝露リスクを排除できないため出社を避けるべきです。
【リモートワーク(在宅勤務)への切り替えを検討できる人】
- 体調(眼痛・発熱・倦怠感)が比較的軽度で、完全な在宅環境が整っている人:通勤による公衆への感染リスクや同僚への接触を完全にゼロにできるため、労使合意の上で在宅勤務へ切り替えることは経済的・業務的損失を防ぐ合理的選択肢となります。
- 短時間のテキストコミュニケーション中心で業務が完結する職種:画面の拡大や音声入力を活用し、眼球への負荷を最小限に抑えながら対応できる範囲で業務を継続し、所定賃金100%を確保することが可能です。