半世紀を超える結婚生活の中で、夫妻の間に子供はいません。世間では様々な憶測が飛び交いましたが、タモリに子供がいない理由の根幹には、彼自身の一貫した哲学と夫婦観が存在します。
タモリは過去の親しい文化人との対談やプライベートな会話において、「自分自身がいつまでも子供のような気質を引きずっており、一人の人間を育てる親という重責を引き受ける自信がない」といった趣旨の述懐を残しています。また、それ以上に大きかったのが「妻と向き合う時間を何よりも優先したい」という純粋なパートナーシップへのこだわりでした。子供を中心とした家庭づくりではなく、大人同士が対等な関係性として人生を共に旅するという選択肢を、昭和の高度経済成長期という家族主義が色濃い時代に自覚的に選び取っていた点に、タモリの先進性が見て取れます。
芸能界には多忙による家庭崩壊やすれ違いが散見されますが、子供がいないからこそ、二人は「男と女」「経営者と表現者」としての適度な緊張感と深い敬意を保ち続けることができました。この選択こそが、30年以上にも及ぶ過酷な帯番組出演を完遂する精神的支柱となったのは間違いありません。