2021年に改定された「富士山ハザードマップ」では、最新の地質調査に基づき、想定される溶岩流の噴出量が従来の約2倍(約7億㎥〜約13億㎥)、想定火口範囲も大幅に拡大されました。これにより、山梨県・静岡県・神奈川県の各自治体は避難計画を根本から見直しています。
一方で、首都圏住民にとって最大の脅威となるのが「広域降灰(火山灰)」です。偏西風に乗って東へ運ばれた火山灰は、神奈川、東京、千葉、埼玉、茨城に広範囲に降り注ぎます。
内閣府のワーキンググループによるシミュレーションでは、首都圏にわずか0.5センチメートルの降灰があっただけで、以下のような都市麻痺が発生すると試算されています。
1. 交通網の即時麻痺:鉄道はレール上の微細な灰で通電不良を起こし運行停止。車も路面のスリップやフィルターの目詰まり、視界不良により幹線道路が完全封鎖。
2. 大規模ブラックアウト(停電):雨水を含んだ火山灰が配電設備の碍子(がいし)に付着し、ショートを引き起こすことで広域停電が発生。
3. 給排水・浄水機能の停止:浄水場の沈殿池に灰が混入し水質悪化。下水管が灰で詰まり都市の水インフラが停止。
4. 健康被害と電子機器障害:火山灰は「燃えかす」ではなく「微細なガラス片」であるため、目に入れば角膜損傷、吸い込めば呼吸器疾患を引き起こします。また、サーバーや工場の吸気口を詰まらせ、ITインフラにも多大な打撃を与えます。