この場所で演奏する際、避けては通れない「共演者」がいる。それが、今も現役で動き続ける塔時計の音だ。数十分おきに響く重りの駆動音や、時を告げる鐘の音。通常のコンサートホールであれば「雑音」として排除されるはずの音が、ここでは演出の一部として機能する。
静寂に包まれた演奏の合間、ふと聞こえる時計のコトコトという音。それは、明治から令和まで、140年以上の時間を紡いできた歴史の鼓動そのものだ。アーティストたちは、その鼓動に合わせてテンポを調整し、曲の合間をデザインする。この場所でしか成立しない、時間と音楽のコラボレーションがそこにはある。