「充電式湯たんぽが突然パンッと破裂して熱湯が飛び散った」——SNSや消費者ポータルで時折見かけるこうした生々しいトラブル報告は、決して根も葉もない都市伝説ではありません。NITE(製品評価技術基盤機構)や消費者庁が公表している事故事例集にも、充電式(蓄熱式)湯たんぽが蓄熱中に異常膨張し、外装が破裂して使用者や周囲の家具に高温の液体が飛散した事故が記録されています。
充電式湯たんぽの危険性を正しく理解するためには、まずその内部構造を知る必要があります。この製品はリチウムイオンバッテリーで発熱し続ける電子機器ではなく、内部に密閉された蓄熱液(精製水や弱塩化ナトリウム水溶液)を内部ヒーターで急速に沸騰・加熱する「液浸ヒーター方式」を採用しています。蓄熱プラグを差し込むと、約300〜400W前後の高出力でヒーターが一気に液体を60〜70℃付近まで加熱します。
通常、設定温度に達すると内部のバイメタル式サーモスタットや温度ヒューズが物理的に回路を遮断し、自動的に加熱を終了させます。しかし、以下のような条件下で破裂事故が発生します。
第1の原因は、極端な低価格で流通する粗悪品にみられる「安全制御センサーの品質不良」です。サーモスタットが接点溶着などの故障を起こして通電が止まらなくなると、内部の液体が沸騰を続け、水蒸気が大量発生して内圧が異常上昇します。外装のPVC(ポリ塩化ビニル)多層シートの耐圧限界を超えた瞬間に、製品が破裂に至ります。
第2の原因は、「傾いた状態での充電や蓄熱プラグの不完全な差し込み」です。本体が斜めになったまま加熱すると、ヒーターの一部が液体から露出して空焚き状態となり、局所的な異常過熱や内部樹脂の溶解を引き起こします。これがショートや発火、外装破損の引き金になります。