中古車市場において、認定中古車と一般中古車の違いは単なる「看板の有無」にとどまりません。最大の違いは、納車前に注ぎ込まれるコストとスクリーニング(選別)の厳しさにあります。フォルクスワーゲンがグローバルで展開する認定中古車ブランド「Das WeltAuto(ダス・ヴェルトアウト)」では、仕入れ段階で修復歴車や冠水車はもちろん、過去の整備履歴が不明瞭な個体や並行輸入車を完全に排除しています。
さらに現場の整備士が口を揃えるのが、VW認定中古車納車前点検項目の厳格さです。一般的な格安中古車店では法定12ヶ月点検(約24〜36項目)と簡単な油脂類交換のみで納車されるケースが散見されますが、認定中古車では専任メカニックが最大71項目に及ぶ厳しい点検・整備を実施します。ドイツ本国とリアルタイムで通信する専用車両診断機「ODIS(Offboard Diagnostic Information System)」を接続し、過去の一時的なエラーログまで解析した上で最新ソフトウェアへのアップデートを実施。バッテリー、ワイパーゴム、エンジンオイルなどの規定基準を下回る消耗部品は原則として新品交換されてから納車されます。
取材に応じた首都圏正規ディーラーの工場長は、「一般の中古車店から流れてきた個体を点検すると、社外品の安価な油脂類が使われていたり、正規の診断機でしかリセットできない故障コードが放置されていたりするケースが珍しくない」と明かします。この価格差は単なるブランド料ではなく、「納車されたその日から新車同等の安全性とパフォーマンスを取り戻すための事前投資コスト」として跳ね返っているのが実態です。