およそ4000万年以上にわたり大地に君臨したプロトタキシーテスは、なぜデボン紀末期(約3億6000万年前)を境に地層から完全に姿を消してしまったのでしょうか。その絶滅の理由は、古生代後期の地球環境を襲った「緑の革命」と深く結びついています。
最大の要因は、維管束と真の根を備えた「本物の大樹木」の出現です。デボン紀中期から後期にかけて、シダ種子植物の先駆けであるアーケオプテリス(Archaeopteris)などの高木層が地球上に広大な森林を形成し始めました。これらの植物は地中深くまで強固な根を張り巡らせ、土壌を固定すると同時に、大気中の二酸化炭素を大量に固定して地表の光環境を一変させました。
大森林の出現は、プロトタキシーテスに二重の壊滅的打撃をもたらしました。第一に、高さ20メートルを超える本物の樹木に上空の空間を遮られ、胞子を長距離拡散するための「高さの優位性」を完全に奪われたことです。第二に、植物の根系が土壌を劇的に改変したことで、雨水流や地表の有機物循環サイクルが激変しました。巨大な体を立ち上げるための大量の資源配分と維持コストは、樹木との競合や土壌微生物の多様化の中で割に合わないものとなり、自然選択の淘汰圧に抗えなくなったと考えられています。