映画『それでもボクはやってない』は特定の1つの事件だけを映像化したものではなく、2000年代初頭に多発した複数の実際の痴漢冤罪事件を徹底的にリサーチして生み出された作品です。
特に参考にされた事件の一つが、2000年に発生した「防衛医大教授痴漢冤罪事件」です。この事件でも被告人は一貫して無罪を主張しましたが、一審の東京地裁では有罪判決が下されました。しかし、控訴した東京高裁で見事に逆転無罪を勝ち取り、最高裁で確定しています。この実話の裁判記録や弁護活動のプロセスが、映画の法廷シーンに色濃く反映されています。
作中の金子徹平の「その後」については、映画内では控訴手続きを行う場面で幕を閉じ、確定判決までは描かれていません。しかし、周防監督がモデルとした実際の冤罪被害者たちの多くは、数年から十数年という歳月を費やして高裁や最高裁で闘い続け、無実を証明していきました。徹平もまた、終わりの見えない過酷な控訴審へと足を踏み入れたことが示唆されています。