長年続いた人気シリーズ『科捜研の女』において、沢口靖子が演じた榊マリコは、科学捜査ドラマというジャンルを日本のお茶の間に根付かせたパイオニアである。専門用語が飛び交う難解なセリフを完璧に消化し、キャラクターに人間味を吹き込む作業は、並大抵の努力では務まらない。
現場の関係者が明かす未公開のエピソードがある。過酷なロケ撮影が続く京都の現場で、彼女は深夜に及ぶ撮影の後でも絶対に疲れた素振りを見せなかったという。共演者への細かい気配りや、難解な科学用語のニュアンスを深掘りするために専門家へ自ら質問を重ねる姿勢。そうした妥協のない積み重ねこそが、視聴者の心を捉えて離さないリアルな緊迫感を生み出していたのだ。