日本国内のアクリルガッシュ市場において、シェアの大部分を占めているのがターナー色彩のアクリルガッシュと、ホルベイン画材のアクリラガッシュです。美術大学の受験指導の現場やプロのイラストレーターコミュニティでは、両者の細かな特性の違いが常に議論の対象となってきました。
1982年に国産初のアクリルガッシュとして登場したターナー色彩アクリルガッシュは、アニメーション制作スタジオの背景美術やグラフィックデザイン教育の標準画材として圧倒的な普及率を誇ります。実際の制作現場からは「驚くほど均一に伸び、筆跡(筆ムラ)が綺麗に消えてポスターのような完璧なフラット面ができる」「乾燥速度が極めて早く、締め切り前の作業効率が段違い」という高評価が定着しています。独自の和様色やジャパネスクカラーなど、独特の質感を持つ派生シリーズが豊富な点も特徴です。
一方のホルベインアクリラガッシュは、混色時の発色の美しさと塗膜のしなやかさに重点を置いて開発されています。愛用者へのヒアリングや画材コミュニティの声を集約すると、「ターナーに比べて乾いた後の塗膜がわずかに粘り強く、紙がたわんだ際にも亀裂が入りにくい」「原色の鮮やかさが際立っており、絵画的な中間色のコントロールがしやすい」といった意見が多く見られます。
画材選びに迷う初心者の場合、まずは両メーカーが展開している初心者おすすめセット(基本12色〜18色、11mlまたは20mlチューブ入り)からスタートするのが確実です。学校指定や課題で指定がない限り、完全なフラット塗りを極めたいならターナー、絵画的な混色や柔らかなグラデーションを試したいならホルベインという基準で選べば失敗しません。