「月に数十万円を使うのは、この界隈では決して特別なことではありません」。そう語るのは、都内のライブハウスに通い詰める20代の女性客だ。彼女たちの行動の中心にあるのが、ライブ終了後に開催される「特典会」と呼ばれる接触イベントである。
2ショットチェキの撮影や数十秒から数分間の会話を楽しむため、ファンは無数の特典券を買い求める。1枚数千円のチェキ券が積み重なっていく背景には、「推し」を自分だけの特別な存在として応援したい、あるいは関係性を深めたいという切実なファン心理が存在する。メディアがこれまであまり報じてこなかった現場の隠された実態を探ると、単なる趣味の範疇を超えた金銭消費と、それによって満たされる強烈な感情の取引が行われているリアルな姿が浮かび上がってくる。