ドラフトの醍醐味といえば、運命を左右する「くじ引き」の攻防である。阪神タイガースの競合くじ引き歴代の記録は、歓喜の爆発と失意の溜息が交錯する激動の歴史そのものだ。
記憶に新しい最大の熱狂は、2020年ドラフトにおける佐藤輝明の4球団競合である。オリックス、ソフトバンク、巨人、そして阪神の4球団が指名重複する中、当時の矢野燿大監督が見せた左手でのガッツポーズはファンの語り草となった。地元・関西出身の超大型スラッガーを引き当てた瞬間、チームの未来像は一気に明るさを増した。
歴代のくじ引きを検証すると、1979年に6球団競合の末に岡田彰布を引き当てた奇跡的な勝負強さがある一方で、1990年代から2000年代にかけては「クジ運のなさ」に泣かされる時期も長かった。しかし、重要なのはくじに当たったか外れたかだけではない。外れた際のバックアップ戦略(いわゆる「外れ1位」「外れ外れ1位」)の質こそが、近年の阪神の選手層を分厚くした決定打である。