整形外科や整骨院を訪れるランナーから「走ると膝の内側が痛くて着地できない」という切実な声が絶えません。SNSやQ&Aサイトでも、半月板損傷を疑って受診したところ鵞足炎と診断されたという投稿が散見されます。なぜこの部位に炎症が多発するのでしょうか。
鵞足炎の原因は、鵞足を構成する縫工筋、薄筋、半腱様筋の腱が、脛骨内側側副靭帯(MCL)や脛骨骨膨隆部と繰り返し擦れ合う摩擦ストレスにあります。特にマラソン愛好家やサッカー、バスケットボール選手のように、ステップや切り返し動作を反復する競技者において発症頻度が高まります。
理学療法士の現場観察によると、鵞足炎を発症する患者の約75%以上に共通して見られる動作エラーが「ニーイン・トゥーアウト(膝が内側に入り、つま先が外側を向く姿勢)」です。このアライメントが着地時に生じると、縫工筋と薄筋は引き延ばされながら急激な張力を強いられ、付着部に強烈な牽引力と摩擦が発生します。
さらに見落とされがちなのが、長時間のデスクワークによる骨盤の後傾です。椅子に深く腰掛けず骨盤が寝た状態で座り続けると、上前腸骨棘から伸びる縫工筋は短縮したまま硬化します。その硬くなった状態で立ち上がり、突然急激なウォーキングやランニングを行うことで、腱の付着部に微小断裂や炎症が生じるというプロセスが実態検証から浮き彫りになっています。