観光パンフレットの表紙を飾る定番商品の陰で、地元住民が密かに買い求める「知る人ぞ知る名品」が存在する。その代表格が、早朝から行列ができる老舗の限定品だ。入手困難とされる手作りの生菓子は、日持ちがしない代わりに一口食べた瞬間の風味覚醒が段違いである。
かつて松尾芭蕉が『おくのほそ道』の旅路で足跡を残したこの地には、古くから茶の湯文化が根付いている。洗練された伝統の和菓子は、単に甘いだけでなく、職人が季節の移ろいを繊細に表現した芸術作品だ。午前中に完売してしまう幻の羊羹や、限られた時期にしか出回らない生大福など、現地へ足を運んだ者だけが享受できる贅沢がここにある。