医療系Q&AコミュニティやSNS上には、「お風呂でしこりに触れたが恥ずかしくて病院に行けない」「押したら引っ込んだので何年も放置している」といった告白が無数に寄せられています。デリケートゾーンに近い解剖学的部位であるため、受診の心理的ハードルが極めて高いのが実情です。
しかし、消化器外科医や形成外科医が臨床現場で警鐘を鳴らすのは、まさにこの「引っ込むから大丈夫」「痛くないから平気」という先延ばし心理です。手記や臨床報告には、以下のような生々しい実態が記されています。
『最初はゴルフのラウンド中に違和感があった程度で、指で押し戻せば治まっていた。ところが半年後、夜間に突然激しい腹痛と嘔吐に襲われ、しこりが紫色に変色して戻らなくなった。緊急搬送されて腸切除の手術を受ける羽目になった』
これは鼠径ヘルニアの脱出腸管が締め付けられ、血流が途絶えて組織が壊死する「嵌頓(かんとん)」と呼ばれる緊急事態です。放置された鼠径ヘルニアは薬で治ることはなく、根本治療は手術以外に存在しません。違和感を覚えた段階での早期相談が、身体への侵襲を最小限に抑える唯一の手段です。