仏教の浄土門において最重要視される根本経典が浄土三部経 詳細まとめに挙げられる『大無量寿経』『観無量寿経』『仏説阿弥陀経』の三作です。その中でも、後秦の鳩摩羅什(くまらじゅう)によって漢訳された『仏説阿弥陀経』は、日本の葬儀・法要現場において宗派を問わず最も頻繁に読誦されてきました。
この経典の特異な点は、仏教の経典の多くが弟子からの問いかけに釈迦が答える対話形式を取るのに対し、釈迦が自ら進んで弟子の一人である舎利弗(シャーリプトラ)に向かって極楽浄土のありさまを語り聞かせる「無問自説(むもんじせつ)」の形式を採っていることです。
『仏説阿弥陀経』冒頭〜核心部分の原文・ふりがな・現代語訳
経典全体は約1,800字に及ぶ長文であるため、寺院関係者の解説でも特に核心と位置づけられる冒頭部と、阿弥陀仏を心に留める功徳を説いた重要部を抜粋し、お経 読み方 ふりがなを付して提示します。
【冒頭部分:極楽浄土の提示】
原文:如是我聞。一時佛在舎衛國。祇樹給孤獨園。與大比丘衆。千二百五十人倶。
読み方(ひらがな):にょぜがもん。いちじぶつざいしゃえこく。ぎじゅぎっこどくおん。よだいびくしゅ。せんにひゃくごじゅうにんぐ。
現代語訳:私はこのように釈尊から聞きました。ある時、釈尊は舎衛国の祇樹給孤独園(祇園精舎)におられ、千二百五十人の優れた弟子(比丘)たちと共にいらっしゃいました。
原文:從是西方。過十萬億佛土。有世界名曰極樂。其土有佛。號阿彌陀。今現在説法。
読み方(ひらがな):じゅうぜさいほう。かじゅうまんおくぶつど。うせかいみょうえつごくらく。ごどとうぶつ。ごうあみだ。こんげんざいせっぽう。
阿弥陀経 全文 現代語訳(抄訳):ここから西の方角へ十万億もの多くの仏の国を通り過ぎた遥か彼方に、「極楽」と呼ばれる世界が存在します。その清らかな国土には阿弥陀と名乗る仏がいらっしゃり、今まさに人々のために尊い説法を続けておられます。
【核心部分:名号を保持することの功徳】
原文:若有善男子善女人。聞説阿彌陀佛。執持名號。若一日。若二日。若三日。若四日。若五日。若六日。若七日。一心不亂。其人臨命終時。阿彌陀佛。與諸聖衆。現在其前。
読み方(ひらがな):にゃくうぜんなんしぜんにょにん。もんせつあみだぶつ。しゅうじみょうごう。にゃくいちにち。にゃくふつにち。にゃくさんにち。にゃくしにち。にゃくいつにち。にゃくむくにち。にゃくしちにち。いっしんふらん。ごにんりんみょうじゅうじ。あみだぶつ。よしょしょうじゅ。げんざいごぜん。
現代語訳:もし信心ある善良な人々が、阿弥陀仏の教えを聞き、その尊い名号(南無阿弥陀仏)をしっかりと心に保ち、ある者は一日、あるいは二日、あるいは七日間にわたって心を乱さずに唱え続けたなら、その人が命を終えようとするとき、阿弥陀仏は諸々の聖者たちを引き連れて必ずその御前に姿を現してくださいます。
この経典が約束しているのは、難解な修行や出家生活を送ることのできない市井の生活者であっても、純粋に名号を心に刻んで唱えれば、臨終に際して阿弥陀仏が迎えに来て極楽浄土へと導くという、普遍的かつ無条件の救済理論です。