重大な交通事故が発生した際、遺族や社会が最も注視するのが、適用される罪名が過失運転致死罪にとどまるのか、それとも危険運転致死傷罪に切り替えられるのかという点だ。最高刑で7年以下の懲役・禁錮または100万円以下の罰金が科される過失運転致死罪に対し、危険運転致死傷罪(致死の場合)は最長20年の有期懲役という極めて重い刑事罰が規定されている。
近年、ネット社会における市民感情の過熱やYahoo!ニュースをはじめとするポータルサイトのコメント欄での議論は、法改正への大きな原動力となってきた。しかし、刑事判例の現場では厳格な罪刑法定主義が貫かれる。高速度走行であっても「制御困難な速度」と言えるか否か、わずかなアルコール検出で「正常な運転が困難な状態」と判定できるかなど、弁護側と検察側の攻防は熾烈を極める。