名曲『いのちの歌』の原点は、2008年9月から2009年3月にかけて放送されたNHK連続テレビ小説『だんだん』に遡ります。島根県出雲市と京都府を舞台に、双子の姉妹(三倉茉奈・三倉佳奈)が巡り合い、音楽を通して絆を結んでいく物語でした。タイトルの「だんだん」とは、出雲弁で「ありがとう」を意味する言葉です。ドラマ制作陣は、劇中で姉妹が結成するデュオ「シジミジル」が歌うクライマックスの重要な楽曲として、ドラマのテーマそのものである「感謝と生命のつながり」を表現できる歌を求めていました。
劇伴音楽およびこの曲の作編曲を託されたのが、弱冠20代で映画音楽などを手がけ天才作曲家として頭角を現していた村松崇継氏です。村松氏は、シンプルでありながら日本人の心の原風景に訴えかけるノスタルジックで力強いメロディを紡ぎ出しました。後に彼自身が語るように、テクニックに頼るのではなく「誰の胸にもすっと溶け込む息の長い旋律」を徹底して追求した構成が、後のロングヒットの土台となっています。
ドラマの劇中歌として生まれた小さな命の種は、放送を重ねるごとに視聴者からの凄まじい反響を呼びました。「歌詞を紙に書き留めて毎朝読んでいる」「家族への感謝を思い出して涙が止まらない」といった投書がNHKに殺到。当初は限定的な劇中歌の予定だったものが、瞬く間に全国の学校関係者や合唱指導者の目に留まり、教科書掲載や合唱コンクールの自由曲へと広がっていくことになります。