浮浪者の死後、男の人生は皮肉にも急上昇を遂げます。事業は大成功を収め、莫大な富と名声、そして愛する妻と娘に恵まれて人生の頂点に立ちました。しかし、まさに幸福の絶頂を迎えたその日、男の前にあの浮浪者の怨霊が姿を現します。
怨霊は男の魂を地獄へ引きずり込むため、ある奇妙かつ過酷なゲームを提示しました。それが、読者の記憶に強く刻まれる「ポップコーンの試練」です。
ルールはシンプルでありながら極限の精神力を要求するものでした。男の手元にあるポップコーンを、教会の外にある街灯の高さ(約3メートル以上)まで放り投げ、落ちてくる粒を地面に落とすことなく「3回連続で口でキャッチ」できれば助かるというものです。失敗すれば、その場で男の首は怨霊の手によって切断される運命にありました。
男は極限の集中力を発揮し、1回目、2回目と見事に成功させます。しかし、最後の3回目を投げ上げた瞬間、街灯の上にいたハトの群れが飛び立ち、ポップコーンの軌道を狂わせました。落下点を見失った男はキャッチに失敗し、怨霊の刃によって首を刎ね飛ばされてしまいます。
では、なぜ首を切り落とされたはずの男が、目の前で露伴に懺悔を語ることができているのか。ここに、本作屈指の冷酷なオチとトリックが隠されていました。
実は男は、怨霊が現れる日を予見し、あらかじめ多額の報酬で雇った召使いの男に自分と瓜二つの整形手術を受けさせていたのです。怨霊が「絶頂期の男」として首を刎ねた相手は、身代わりとなった召使いでした。本物の男は、召使いの首が落ちる絶望的な光景を自宅の窓から見下ろしていたのです。
怨霊は「顔」でターゲットを認識していたため、整形された身代わりの魂を地獄へ持ち去り、男は物理的な死を回避することに成功しました。しかし、男は今もなお「いつか怨霊が真実に気づき、本物の自分を迎えに来るのではないか」という底知れぬ恐怖に怯え続け、教会で神の許しを乞うていたのです。