桑田家の次男として誕生したMatt(桑田将司)氏の歩みは、日本の芸能史・カルチャー史においても極めて特異で先駆的なものです。幼少期には父の勧めで野球やピアノを経験するものの、やがて音楽と芸術の魅力に深く傾倒していきます。
堀越高校から桜美林大学芸術文化学群へ進み、音楽を専攻。ピアノ、サックス、ドラムなどを自在に操る類まれな音楽的素養を培う中で、大学時代にブライダルモデルとしてのスカウトを受けたことが、表舞台への進出の契機となりました。
テレビ番組へ出演し始めた当初、陶器のような白い肌と彫りの深いメイク、日本人離れしたドールライクな世界観は、ネット上で大きな戸惑いと反発を呼びました。「なぜあの大投手の息子が」「異質すぎる」といった心ない誹謗中傷にさらされた時期もあります。しかし、Matt氏はそうした雑音に一切屈することはありませんでした。
「自分が心地よいと感じる美しさを貫く」「誰に何を言われようと、好きな自分でいることを諦めない」という姿勢を一貫して表明。毎日の入念なスキンケアに数時間をかけ、日焼け止めを1年中欠かさず塗り直し、最新の美容医療やメイク技術をストイックに研究し続ける姿は、次第に世間の見方を180度変えていきました。
写真を独自の世界観に加工する「Matt化」が国民的なブームとなり、著名人がこぞってMatt氏とのツーショットを熱望するようになると、ネットの反応は「奇抜な二世タレント」から「美学を極めた孤高のプロフェッショナル」へと完全に昇華。自らの信念によって時代を自分の方へと引き寄せたのです。