現代サッカー中継で審判のジャッジが最も白熱し、サポーターの間で議論を呼ぶのが「DOGSO(ドグソ/Denying an Obvious Goal-Scoring Opportunity:決定的な得点機会の阻止)」の適用を巡る場面です。
ゴールキーパーと1対1になりそうな攻撃側選手を守備側が後ろから倒した場合、それが悪質なファウルでなくとも、審判はレッドカードを抜きます。DOGSOの成立には、以下の4つの厳格な要素(4要件)がすべて揃っているかどうかが判定されます。
- 反則とゴールとの距離:ゴールから近距離であること。
- プレーの全体的な方向:攻撃側が相手ゴールに向かって進んでいること。
- ボールをキープできる、またはコントロールできる可能性:走査線上にボールがあり、攻撃側が容易にキープできる状況であること。
- 守備側競技者の位置と数:反則を犯した選手以外に、カバーに戻れるディフェンダーが存在しないこと。
ここで重要なのが、2016年のルール改正以降に導入された「三重罰(トリプル・パニッシュメント)の回避」ルールです。以前はペナルティエリア内でDOGSOを犯すと「PK献上+一発退場+次戦出場停止」というチームを壊滅させる重罰が下されていました。
しかし現行ルールでは、「ペナルティエリア内で、ボールを奪おうと正当にプレーを試みた(ボールへチャレンジした)場合」に限り、レッドカードからイエローカードへ処分が1段階軽減されます。一方で、「ボールに触れる可能性のない背後からの引き倒し」「意図的な手での阻止(ハンド)」などは依然としてPKかつ一発レッドカードの対象となります。
さらに現在では、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が運用されており、「はっきりとした明白な間違い(Clear and Obvious Error)」があった場合にのみオンフィールドレビューが実施されます。肉眼では見落とされがちだったスパイク裏の接触角度や、DOGSO成立時の味方守備陣の位置関係がミリ単位の映像でチェックされるため、2026年現在のトップリーグにおけるレッドカード判定の透明性と厳格さは過去最高水準に達しています。