松島オルゴール館の起源は、1992年に開館した「ベルギーオルゲールミュージアム」に遡ります。ベルギー王立博物館の全面的な学術協力を得て、19世紀末から20世紀初頭にかけてヨーロッパの貴族社会や大衆酒場を彩った貴重なアンティークオルゴールや自動演奏楽器を多数収蔵。世界屈指の音響遺産として高い評価を獲得していました。
しかし、2011年3月11日に発生した東日本大震災が転機となります。松島湾周辺を襲った大津波により、町内は壊滅的な打撃を受けました。施設自体は高台にあったため壊滅的な浸水は免れたものの、激震による建物の損傷や精密な自動演奏楽器の機能停止、さらには全国的な観光客の激減が重くのしかかりました。
震災後、運営会社の経営状況が悪化し、施設の競売や所蔵品の散逸が懸念される事態に陥ります。地元報道や関係者の証言によると、「このままでは世界的な文化遺産であるオルゴールたちが海外へ流出してしまう」という強い危機感が募るなか、松島の観光復興と文化継承を掲げた地元企業や有志が救済に立ち上がりました。
精密機械であるオルゴールの修復には膨大な時間と専門職人の手作業を要しましたが、約5年半に及ぶ歳月をかけたレストア作業を経て、2016年9月に複合文化施設「ザ・ミュージアムMATSUSHIMA」として劇的な営業再開を果たしたのです。