『さるとびエッちゃん』の魅力の根幹にあるのは、原作者である石ノ森章太郎の卓越したキャラクター造形です。原作漫画は1964年に『おかしなおかしなあの子』のタイトルで集英社の少女漫画誌『りぼん』にて連載がスタートし、後に講談社の『週刊少女フレンド』へ移籍するなど、掲載誌を変えながら長きにわたり愛されました。
物語のあらすじは、三葉小学校に転校してきた小柄な少女・猿飛エツ子(通称:エッちゃん)が、周囲で巻き起こる様々なトラブルを持ち前の能力で解決していく痛快日常コメディです。エツ子はかの有名な忍者・猿飛佐助の三十三代目の子孫であり、常人を遥かに凌駕する怪力、疾風のごとき足の速さ、屋根から屋根へと飛び移る跳躍力、さらには動物たちと言葉を交わす特殊な力を持っています。
当時、東映動画が展開していた『魔法使いサリー』や『ひみつのアッコちゃん』に代表される「魔女っ子・魔法少女アニメ」の潮流のなかにありながら、エッちゃんは魔法のステッキを使うのではなく、あくまで自身の身体能力と忍術、そして人情味あふれる機転で困難を乗り越えていきます。この泥臭くも温かいアクションコメディの作風が、従来の少女向け作品の枠組みを大きく打ち破りました。
そして忘れてはならないのが、エツ子の相棒である犬のブクです。人語を完全に理解し、関西弁の混じった達者な口調でしゃべるブクは、単なるペットやマスコットではなく、エツ子の良き理解者でありツッコミ役として物語に抜群のテンポを生み出しました。