インターネット上には、迷走神経反射に関して医学的根拠を欠く誤解が散見されます。最も悪質なのは「緊張に慣れれば倒れなくなる」「気合で我慢すれば耐えられる」という精神論です。反射のスイッチが入った状態で我慢を試みて立ち続けると、脳貧血が急速に悪化し、立ったまま意識を失って顔面から倒れ込む大事故につながります。
また、迷走神経反射の治し方について「これを飲めば一発で完治する特効薬がある」という言説も誤りです。基本的に本症は、薬物療法による根治を目指すものではなく、生活環境の調整と物理的な発症回避アクション(カウンタープレッシャー法など)を身につけることでコントロールする性質のものです。
さらに見落とされがちな盲点が、「排便・排尿時の失神」や「激しい咳の後の失神」です。いきむ動作によって胸腔内圧が上昇し、心臓への静脈還流が阻害されることで反射がトリガーされます。夜間のトイレで倒れて頭部を強打する事例は高齢者だけでなく若者にも多いため、力みすぎない習慣や、便座から立ち上がる際の一呼吸が重要です。