日本代表戦のキックオフ前後は、スタジアム現地とインターネット空間の双方が独特の興奮と緊張感に包まれます。ホームスタジアムの代表格である埼玉スタジアム2002の最寄り駅・浦和美園駅では、キックオフの3時間以上前から青いユニフォームを着たサポーターでコンコースが埋め尽くされ、グッズ売り場やスタジアムグルメには長蛇の列ができます。
現地のバックスタンドで取材を続けると、観客がスマートフォンを片手にスタメン速報を凝視し、「今日はこの布陣できたか」「後半の切り札に誰を残しているか」と議論を交わす光景が日常化しています。近年のファンカルチャーにおいて、キックオフ前の1時間はもはや試合本編と同じ熱量を持つエンターテインメントへと昇華しています。
一方、オンライン上の視聴者コミュニティ(Xや5ちゃんねる、知恵袋)に目を向けると、配信ならではの現実的な課題も浮かび上がります。DAZNなどの動画配信プラットフォームで観戦する場合、地上波放送やスタジアム現地に比べて約15〜30秒程度の配信ディレイ(タイムラグ)が発生します。そのため、「SNSのタイムラインで『ゴール!』という歓喜のポストが先に流れてきて、映像を見る前にネタバレしてしまった」という不満の声が試合ごとに相次いで投稿されています。熱狂的なファンほど、キックオフから試合終了の笛が鳴るまではSNSアプリの通知を遮断し、画面に没入する防衛策を講じているのが実情です。