小学館『週刊ビッグコミックスピリッツ』で連載された真鍋昌平の原作マンガは、そのあまりの生々しさから「実写化不可能」と囁かれていた。しかし、その分厚い壁を打ち破ったのが山田孝之である。闇金業者「カウカウファイナンス」の社長・丑嶋馨を演じるにあたり、山田が試みた役作りはまさに異常な域に達していた。
ただ髭を生やし、メガネをかけるだけではない。立ち姿、歩き方、そして独特のまばたきをしない視線。極めつけは、あえて感情を排した無機質な声のトーンだ。原作者の真鍋昌平本人も、初めて現場で山田が演じる丑嶋を見た際、その佇まいの圧迫感と再現度に息を呑んだと後に明かしている。駄菓子を淡々と口へ運ぶ動作ひとつにも緻密な計算が込められており、狂気と冷徹さが同居する伝説のキャラクターはこうして誕生した。