物語の中盤から終盤にかけて最大の焦点となったのが、「この不気味な家庭教師は何者なのか」という吉本荒野の正体をめぐる謎でした。長男の慎一が吉本の身辺を調査する過程で、衝撃的な事実が次々と明らかになります。
櫻井翔演じる家庭教師の本名は田子雄大(たご ゆうだい)であり、かつて地方の中学校で熱心に生徒と向き合っていた元理科教師でした。田子には当時、真田宗多といういじめに苦しむ生徒がいました。田子は真田を救おうと必死に奔走しましたが、同僚教師であった「本物の吉本荒野」(忍成修吾)は、裏で冷酷にいじめを扇動し、真田を精神的に追い詰めていたのです。
絶望した真田宗多は自ら命を絶ってしまいます。真田の死後、本物の吉本荒野が嘲笑混じりに放った悪辣な言葉に激昂した田子は、もみ合いの末に吉本を階段から突き落とし、植物状態の重体に陥らせてしまいます。田子雄大は自責の念に苛まれながら、「甘っちょろい善意では人は救えない。悪意を凌駕する悪魔にならなければ現実の壁は壊せない」と決意。自らの名前と過去を捨て、憎むべき敵である「吉本荒野」の名前をあえて名乗り、壊れかけた家庭を荒療治で救済する道を選んだのでした。
迎えた最終回の結末では、吉本の真の目的が白日のもとに晒されます。吉本は沼田家の家財道具を文字通りハンマーで叩き壊し、父親の横領や母親の借金、長男の万引きや盗撮癖など、家族全員が隠してきた醜い秘密を一気に白日の下に晒しました。家もプライドも完全に粉砕され、どん底に突き落とされた沼田家に対し、吉本は激しい怒号とともに「現実はもっと残酷だ。だが、お前たちは生きている」と生きることの重みを叩きつけます。
すべてを失った沼田家は、泥まみれになりながらも初めて本音で語り合い、互いの痛みを共有することで、嘘のない新しい家族の絆を一から紡ぎ始めます。ラストシーンで慎一から「先生、あんた誰なんだよ?」と問いかけられた吉本は、ふっと不敵な笑みを浮かべ、トレードマークの台詞を口にして去っていきます。吉本荒野が単なる救世主なのか、それとも狂気を宿した復讐者なのか、見る者に深い余韻と解釈を委ねる圧巻のフィナーレとなりました。