「当日、歌舞伎座の正面に行けばその場で一幕見席が買えるのか」という問いに対する結論は、「空席が残っていれば当日でも購入可能だが、窓口に直行するのはリスクが高い」というのが実態です。
かつての歌舞伎座では、昭和・平成を通じて劇場横に設けられた専用窓口に早朝から並び、紙の整理券を受け取って昼夜の各幕を購入するシステムが定着していました。しかし、感染症対策による長期休止を経て2023年6月に運用が再開されて以降、松竹は「チケットWeb松竹」を軸としたオンライン事前予約システムへと舵を切りました。この変革により、現場での長時間の待機列は劇的に解消された一方で、チケットの確保競争は「劇場の外」から「Web上の回線」へと戦場を移しています。
現在の販売ルールにおいて、一幕見席は基本的に「観劇希望日の前日昼12時」からオンラインで販売が開始されます。劇場窓口で当日券として扱われるのは、あくまでこのWeb販売で予定枚数に達しなかった残席、あるいは直前のキャンセル枠に限られます。襲名披露興行や人気花形役者が勢揃いする演目、あるいは話題性の高い新作歌舞伎の場合、前日の発売開始数分で全席が瞬時にソールドアウトすることも珍しくありません。現場のチケットボックスに直接足を運んでも、「本日の幕見席は全幕完売」というアナウンスに直面するケースが後を絶たないのが現状です。