岩隈久志という稀代の投手を語る上で、義父である広橋公寿氏との関係性は切っても切り離せない。指導者と選手という厳格な師弟関係から、やがて「義理の父と息子」という深遠な家族の絆へ。そのドラマチックな経緯は、まるで質の高いスポーツノンフィクションを読んでいるかのようだ。
かつてグラウンドで技術や精神論を叩き込んだコーチが、家では心強い相談相手であり、孫たちを可愛がる優しい祖父になる。勝負の厳しさを知り尽くす広橋氏だからこそ、義理の息子が抱えるプレッシャーを誰よりも理解していた。時には男同士で深く野球観を語り合い、時には義父として温かく背中を押す。公私を超えた絆が、投手のメンタルを強固に支えていたのだった。