ふたりの出会いは2010年に遡ります。クロムハーツの愛好家として知られていた中村獅童が、東京・南青山の店舗を訪れた際、広報業務を担当していた沙織さんに一目惚れしたことがすべての始まりでした。
当時、獅童は沙織さんの連絡先を尋ねて積極的にアプローチを重ねましたが、芸能界とは無縁の生活を送っていた沙織さんは当初、非常に慎重な姿勢を崩しませんでした。過去の派手な報道や離婚歴といった先入観を払拭し、誠実な人間性を知ってもらうまでに時間を要したと、獅童自身も当時の特番インタビューや回想録で明かしています。
交際が深まる中で最大の転機となったのが、獅童の芸能生活をマネジメント面でも精神面でも全面的に支えていた実母・小川陽子さんの闘病生活でした。沙織さんは陽子さんの体調を気遣い、足繁く病院や自宅へ通いながら献身的に寄り添いました。厳格な審美眼を持ち、梨園の重責を背負い続けてきた陽子さんが、沙織さんの誠実さと芯の強さに触れ、「獅童をこの人に託したい」と深く信頼を寄せたことが、ふたりの結婚を決定づける強力な後押しとなったのです。
2013年12月に陽子さんが逝去されたため、喪に服す期間を経て2015年1月に婚姻届を提出、同年5月には都内ホテルで盛大な結婚披露宴が執り行われました。この再婚は、単なる恋愛関係の成就にとどまらず、獅童にとって亡き母との約束を果たし、歌舞伎役者としての基盤を再構築するための必然の決断でした。