藤子・F・不二雄氏が遺した膨大なエピソード群の中でも、てんとう虫コミックス第6巻に収められた「夜ふかしはおまかせ」は、日常のささやかな願望が底知れぬ孤独へと転落していく構成美が際立っています。
物語の発端は、昼間の生活に強い不満を募らせたのび太の夜更かしへの強い執着でした。学校では先生に叱られ、帰宅すれば母親から勉強を強いられ、空き地に出ればジャイアンやスネ夫にいじめられる。のび太が口にしたドラえもん 夜更かし 理由は、「昼間は小言や嫌なことばかりで自由がない。誰もが寝静まった夜こそが、唯一自分の思い通りになる時間だ」という、痛切な自己防衛の叫びでした。
同情したドラえもんが取り出したのが、本作の鍵を握るドラえもん 夜更かし 秘密道具です。これさえあれば夜通し活動できると確信した二人は、家族が熟睡する深夜の町へと飛び出します。ここまでのドラえもん 夜更かし あらすじは、少年の誰もが共感するワクワク感に満ち溢れています。
しかし、待ち受けていた現実は過酷でした。昼間あれほど憧れた「誰もいない夜の世界」は、いざ足を踏み入れると完全な静寂と闇に包まれており、開いている店は一軒もありません。テレビをつければ深夜の放送休止(砂嵐)が虚しく流れるのみで、昼間の賑わいとは別世界の不気味な空白が広がっていました。挙句の果てには空き巣の現場に遭遇するなど、治安上の脅威に怯える羽目になります。
そして物語は、読者の記憶に深く刻まれるドラえもん 夜更かし 結末へと突き進みます。退屈と底知れぬ孤独、恐怖に耐えかねたのび太は「もう嫌だ、早く布団に入って寝よう」と音を上げます。しかし、すでに服用した薬の強制力により、脳と神経が極限まで覚醒し、どれほど目を閉じても一睡もできないという逆転の拷問状態に陥っていたのです。朝の光が差し込み、すっきりと目覚めた両親や友人たちが元気に活動を始める傍らで、のび太とドラえもんは一睡もできぬまま虚脱状態で朝を迎えるという、強烈な皮肉で幕を閉じます。