Q1:トラウマインフォームドケアは、精神疾患のない一般診療科や学校現場でも必要ですか?
A1:極めて有用であり、強く推奨されます。小児期の虐待、激しいいじめ、ドメスティック・バイオレンス、大規模災害などの経験は外見からは見えません。一般内科の注射や歯科の拘束的な診察台、学校での厳格な一斉指導などが予期せぬパニックを引き起こす事例は多々あります。「誰もが見えない傷を抱えているかもしれない」と配慮する姿勢は、あらゆる教育・対人サービスの質と安全性を高めます。
Q2:当事者の「過去のトラウマ」について、支援者から積極的に質問して聞き出すべきですか?
A2:原則として、詳細を無理に聞き出す必要はありません。TICの目的は治療的介入ではなく「現在の安全確保」です。本人が自然に話したいと望まない限り、トラウマの具体的な内容を詮索することは再トラウマ化の重大なリスクを伴います。「過去にどのような体験があったか」を知らなくても、「現在何が不安で、どうすれば安心して過ごせるか」を話し合うだけで十分な支援が成立します。
Q3:職員が「甘やかしだ」と反発し、研修の成果が出ない場合はどうすればよいですか?
A3:反発の根本には「これまで自分たちが命がけで維持してきた規律や管理を否定された」という支援者の危機感や疲労があります。まずは「TICは規律を捨てることではなく、支援者自身の身を守り、暴言やトラブルを減らすための合理的な技術である」という実利的なメリットをデータとともに伝えることが重要です。また、職員自身の過重な労働環境やストレスに組織が向き合う姿勢を先に見せることが、態度の軟化に直結します。