佐倉草ぶえの丘バラ園が世界にその名を轟かせた契機は、バラ界の最高権威である「世界バラ会連合(WFRS)」による評価です。2014年、優れたコレクションと景観を持つ庭園に贈られる「優秀庭園賞(Award of Garden Excellence)」を受賞。さらに、世界的バラ育種家たちの歴史的品種を保存・伝承する功績が称えられ、アジアで唯一となる極めて栄誉ある「ダブル受賞」を達成しました。
多くの観光ガーデンが交配によって作られた大輪のモダンローズ(四季咲き品種)を主軸とするのに対し、この園の真価は「オールドローズ 原種バラ」の圧倒的なコレクションにあります。バラの歴史を紐解く野生種(スピーシーズ)から、中世ヨーロッパで愛されたガリカ、ダマスク、アルバ、そしてアジアから西洋に渡り四季咲き性をもたらした歴史的交配親まで、植物学的に貴重な約1,250種が原産地や系統ごとに美しく分類・保存されています。
もう一つの決定的な要因は、その管理形態です。この膨大な庭園は、専門家で構成される「NPOバラ文化研究所」の学術的指導のもと、情熱ある多くの市民ボランティアの手作業によって支えられています。除草、施肥、冬の寒風の中での剪定・誘引、自然素材を用いた園路づくりに至るまで、里山の生態系を壊さない持続可能なアプローチが貫かれています。商業主義から遠く離れ、植物と歴史への深い敬意が生み出す清廉な空気感こそが、国際審査員を唸らせた美しさの核心です。