かつて日本のビューティートレンドは、目をいかに大きく見せるか、鼻筋をいかに高く見せるかという「足し算」の歴史でした。しかし、その流れを決定的に変えたのが、ここ数年の歴史ドラマ、特に平安時代を舞台にした作品のヒットです。
画面に映し出されるのは、暗がりのなかに浮かび上がる黒髪と、切れ長の目元。過剰なアイラインやマスカラを削ぎ落としたメイクが、かえって役者の個性を際立たせました。視聴者は気づいたのです。「何もしないことの美しさ」に。この視覚的なインパクトが、現代の視聴者の美意識を根底から揺さぶりました。